
Ronny Jordan / London Lowdown
深夜のLondonとNYスピリチュアルが交差する、13分超のカタルシス。
Ronny Jordanのキャリア終盤を飾った隠れた名作
2001年にUSでひっそりとリリースされた本作は、UKを代表するJazzギタリスト Ronny Jordan のキャリア終盤を飾る、事実上のラスト・シングル London Lowdown です。アルバム A Brighter Day からのカットながら、流通したのはPromo盤のみ。その控えめなリリース形態が、逆にこの作品の「知る人ぞ知る」オーラを決定づけています。派手なセールスとは無縁でありながら、DJ達やJazz Houseファンの間では静かな存在感を放ち続けてきた1枚ですね。
静寂の中に広がるLondonの夜景
針を落とすと、まず耳に飛び込んでくるのはローズ・ピアノの柔らかな余韻…。そこへRonny Jordanの軽快で繊細なギターが、夜更けのLondonの街並みをなぞるように静かに重なっていきます。旋律は決して語りすぎず、「間(ま)」を活かしたフレージングによって、聴き手の感情をジワジワと引き寄せる。その時点で、これは単なるJazz Fusionではないコトがハッキリと伝わってきます。
Joe Claussellが導いたスピリチュアル Houseの世界
今回レコメンドするのは London Lowdown (Sacred Rhythm Guitar)。Remixを手がけたのは、NYスピリチュアル Houseの巨星 Joaquin “Joe” Claussellっ! タイトな4つ打ちを軸に、複雑に絡み合うパーカッションが脈打ち、Ronny Jordanのギターは波のように寄せては引く…。その展開は決して派手ではナイ…むしろ反復とフィルタリングを徹底するコトで、13分を超える時間軸の中へ自然とリスナーを引き込み、深い没入感を生み出しています。
JazzとHouseが溶け合う13分間のカタルシス
中盤以降、少しずつ熱を帯びていくアンサンブル…。Jazzの即興性とHouseの機能美が見事に溶け合い、ラストには昇天にも似たカタルシスが待っています。クラブで大音量に身を委ねても、深夜に独り静かに聴いても成立するフトコロの深さは、当時のスピリチュアル Houseが目指していた理想形そのもの。インストゥルメンタルだからこそ、「都市の孤独」や「夜の内省」といった情景を、リスナー自身の体験へ自然に重ね合わせるコトができる作品です。
Promo盤だからこそ宿る特別な価値
2000年代初頭、ラジオ・ヒットやチャートとは距離を置きながらも、DJたちの現場で静かに支持を集めたこの12インチシングル。Promo盤のみという希少性も相まって、今あらためて手に取る価値は非常に大きいでしょう。Ronny JordanとJoe Claussell、両雄が真正面から向き合ったInstrumental Jazz Houseの到達点…。ゼヒ、試聴してあなた自身のセンスで評価して欲しいとカンジる、そんな12インチです。


